会社経営者は雇用している社員やパート、アルバイトに給与を支払わなければなりませんが、給与計算を毎月行うのは結構大変です。
この作業を簡単にするために多くの場合、専用の給与計算ソフトを使用していると思います。
しかし、今使っている給与計算ソフトが本当に優れているのか、もっと良いものがあってそれに変えれば給与計算処理がもっとスピーディーに、そして効率的になるのではないかと考えていませんか。
また、最近普及し始めているインターネットを利用した給与明細の配布にはどのようなメリット、デメリットがあるのか、また具体的にはどのようにすればよいのかなどと考えている人は多いのではないでしょうか。
ここでは数多くある給与計算ソフトの中から、今よりも優れたものを選定するために必要な情報と、今後増えていくウェブでの給与明細照会サービスについてもご紹介します。
ウェブで検索すると給与計算を自動で行うソフトが無料のものも含めて多数紹介されています。
そしてその多くはエクセルで作成されています。
なぜエクセルソフトが多いのかというと、エクセルソフトは基本的にパソコンにはインストールされているので、特別な環境を準備することなく手軽に導入できるからです。
また、エクセルは事務作業では使い慣れたソフトなので、すぐに使えるようになります。
手軽に導入でき、使い慣れたソフトということは、給与に関する処理が簡略化できて工数・経費削減だけでなく、入力ミスや計算ミスも減少させることができるなど、多くのメリットがあります。
また、エクセルで必要項目を入力すれば、標準的な給与明細書のテンプレートも準備されているので、明細書の出力までを大変簡単に行うことができます。
給与計算ソフトを検討するにあたって、給与明細についてもう一度まとめておきます。
給与明細は「勤怠」、「支給」、「控除」の3つで構成されています。
「勤怠」・・・出勤日数、残業時間、休暇取得日数などの勤怠項目(収入)
「支給」・・・基本給や手当類など会社が支払う項目(収入)
「控除」・・・給与(支給)から差し引かれる項目(支出)
そのうち、控除は給料を支払われる時点で、すでに差し引かれる項目で、給料が多い人と少ない人、旦那さんに扶養控除に入って支払いが安く済むようになっている人など、さまざまです。
この差し引かれる各「控除」の金額については、それぞれ計算方法があります。
健康保険料をはじめとする各種保険料、所得税や住民税などの税金等など、項目によって計算方法が異なるのです。
しかし、給与計算ソフトを使用すると、そう言った細かな計算方法を覚えていなくてもソフトが自動的に算出してくれます。
給与計算ソフトを検討する時に、どれくらい知識を簡略化してサポートしてくれるのか?
その点もしっかり注意して選択しましょう。
給与計算ソフトにはいろいろな計算間違いを防ぐ機能があります。
一番簡単なものは必要な項目を手入力することで自動計算され、給与明細が作成されるものです。
基本給など毎月同じ項目は年度初めに一度入力すれば、以降はそのシートをコピーして使えば再入力する必要がないので計算間違いを防げます。
あとは残業時間など毎月変動する項目を入力すれば組み込まれたマクロや関数によって自動的に計算されて、その結果が自動入力されます。
しかしこのソフトでは給与を支払う人数分、また月ごとに1シート必要なので、シート数が毎月溜まっていきます。
なので、管理を容易にするためには社員ごと、年度ごとにファイルを分けるなどの工夫が必要になります。
こういった機能がアップするにつれて、給与計算ソフトには、いろいろ優れた点があります。その第一がマスターシートで「各人の明細項目データを管理する」と言うものです。
専用の入力画面で必要事項を入力すれば、その結果と入力データから計算された結果が、そのままマスターシートに出力されます。
入力画面にはマスターシートにある基本給などの固定データはあらかじめ表示されていて、入力箇所のみ入力ができるようになっています。
このソフトの優れたところはマスターシートですべてのデータが管理されているので、先ほどのソフトのように人数分、月数分のシートを必要としません。
いくつものファイルを開く手間も必要ありませんので計算間違いを防ぐことが出来ます。
さらに会社の稼働日や休日をまとめたカレンダーや勤怠データと連携することで、勤務日数、出勤日数、有給休暇日数、残業時間から計算される時間外手当などさまざまなデータが自動的に入力されます。
このような高機能を備えた給与計算ソフトを使えば自動的にデータが作成されて、データの計算間違いはなくなります。
クラウドをはじめ、インターネットの普及によって給与明細の照会も変わりつつあります。
インターネットを利用した給与明細の照会のメリットは大きく2つあります。
ひとつ目は今まで給与明細書を作成し、専用の用紙に印刷して紙で渡していたのを、パソコンやスマートフォンで閲覧できるようになり、印刷という作業が不要になります。
もうひとつは紙で配布するときに必要な、部門ごとに仕分けする作業もなくなります。
インターネットを利用した給与明細の配布には大きく2つあります。
ひとつはメールによる配信です。
給与計算が完了すると、出力した給与明細表をメールに添付するか、専用のテンプレートに出力してテキスト形式などで送信するものです。
メールは部門などを単位にグループ化しておき、一斉送信すればすぐに配信できます。
給与明細表を添付して送信する場合は個人でそれを保存しておけば、過去の給与明細表も閲覧できますが、テキスト形式の場合はメールそのものを保存しておかなければならず、結構な手間がかかります。
会社としてのメリットとしては、給与明細の配布に費用がかからないということです。
これに対してクラウドでの給与明細照会サービスというのがあります。
これは月々の費用は発生しますが、クラウド上でデータが管理されており、社員は過去分を含めていつでもパソコンやスマートフォンで閲覧することが可能です。
会社側でのメリットも数々あります。
従来の給与明細は、作成後に印刷したり、部門ごとに仕分けする作業などにかかる手間が省けることはメール配布の場合と同じです。
その他にはセキュリティの確保、ユーザーIDやパスワードによる認証、SSLによる暗号化など、自分でデータの管理をしなくても済みます。
この給与明細照会サービスでは今まで使っていた給与計算ソフトをそのまま利用できるのが一般的です。
この機能があるサービスは多くの場合、csv形式で出力されたデータをシステムにインポートすることで、給与明細表が作成されるようになっています。
もうひとつ、月々の給与計算をした結果が管理されているので、年末にはこの1年分のデータから源泉徴収票を作成する機能があるものもあります。
給与計算ソフトの見直しを検討している方、レベルアップしたソフトは見つかりましたか。
給与は労働に対する報酬と、その金額をもとに税金や社会保険料その他諸々の項目を計算し、本人の代わりに納めたり支払ったりしなければならないので、計算ミスをするといろいろと重大な問題にもなりかねません。
絶対に計算ミスをしてはいけない給与計算は、できるだけ人手による作業が少ない方法で行うことが重要になってきます。
さまざまな給与計算ソフトがある中、似通ったものが多いのも事実なので、ここで紹介したような観点で比較して、優良なものを見つけることを期待します。
さらにクラウドやスマートフォンが普及する中、これらをうまく利用したサービスを用いて給与データの安全な管理、給与明細表のスピーディーな配布をすることで給与業務の効率化が図れることでしょう。
お金をもらう方も払う方も計算ミスは避けて通りたいもの。
少しでも計算ミスを減らしてスムーズな業務進行が出来ることを願っています。